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湊かなえ 「ポイズンドーター・ホーリーマザー」

ブックレビュー

湊かなえ「ポイズンドーター・ホーリーマザー」

 

話題のワード「毒親」

をテーマにした作品が中心の6つの短編集。

 

毒親とは?

子の人生を支配する親。

日本では主に母→娘の関係を指すことが多い。

 

☆マイディアレスト

妹の有紗は出産を控え、私が両親と暮らす実家に帰省中でした。

町では妊婦が襲われる事件が起きており、妹は3人目の被害者でした。

妹の事件についてお話を?

わかりました。妹は6歳年下で、

母の私達姉妹に対する接し方はまるで違っていました・・・。

 

☆ベストフレンド

漣涼香(さざなみすずか)は脚本家を目指して、

大学生の頃からコンクールの応募を続けてきた。

9年目にしてついに最終候補に残ったが、作品がドラマ化される最優秀賞は逃した。

最優秀賞を受賞したのは大豆生田薫子(まみゅうだかおるこ)という、

田舎から出て来た垢ぬけない女だったが・・・。

 

☆罪深き女

家電ストア「ミライ電機」で刃物を振り回し、

死傷者15名を出したとして現行犯逮捕された黒田正幸くん(20)は、

私の幼なじみです。

幼なじみといっても彼の方が5歳年下で、

私達はともに母子家庭で、同じアパートの上下の部屋に住んでいました・・・。

 

☆優しい人

N県の「自然の森公園」のバーベキュー広場で

会社員の奥山友彦さん(25)が殺害された。

奥山さんは一緒にバーベキューをしていた

同じ会社の女性(23)に刃物で数か所を刺されたことにより亡くなった。

奥山さんの母は、

「穏やかで優しい性格の息子だったのに」と悲痛な表情で語った。

 

☆ポイズンドーター

女優の藤吉弓香の元へ同級生だった理穂からのメールが届いた。

「欠席」で返信をした同窓会への再度の誘いだった。

狭い田舎町で平凡に暮らしている同級生たちと会うのはおっくうではあったが、

それが同窓会を断った理由ではなかった。

故郷に帰れば、弓香は母と顔を合わせなければならないのだ。

母はいわゆる「毒親」だった。

 

☆ホーリーマザー

女優の藤吉弓香さんの母・佳香さんは私の友人でした。

ご主人を早くに亡くした佳香さんは女手ひとつで懸命に弓香さんを育てていました。

それなのに弓香さんはマスコミに対して彼女のことを「毒親だった」と言うのです。

そしてなんというめぐりあわせでしょうか。

息子の嫁である理穂さんは藤吉弓香さんの友人で、

彼女が女優になった現在も連絡を取り合っているというではありませんか・・・。

 

 

(以下、感想にネタバレ含まれますのでご注意ください)

 

 

 

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「ベストフレンド」以外は、

母と娘の関係性について描かれていて、どれも健全な母娘関係でなく、

読んでいて胃の辺りがずんずんと重くなってくる。

(ちなみに「ベストフレンド」に出てくる、田舎っぺのまみゅうださんは

島根県在住という設定で、思わず「フフフ・・」と笑ってしまう。)

 

最後の「ホーリーマザー」は文字通りとまではいかないまでも、

いわゆる「イヤミス」ではない終わり方だったので意外に思った。

 

個人的には「うわあ」「ああ~・・・」と、

最後まで打ちのめされたかったのにな(笑)

 

 親子の関係って難しい。

 

大人になった今だからこそわかるけど、

「親」である人のほとんどは、

「大人」としても「親」としても未熟な状態で、

見よう見まねで「生身の人間」を育ててゆく。

 

心身ともに成熟していて、心も安定していて、

器が大きくて、愛情深く、知恵もある賢い親の元で、

0歳からすくすくと育てられました、

という人が、この世に存在するのだろうか。

 

しかし、支配や虐待は心に闇を作り、

その闇が次の闇を生む。

その連鎖は断ち切らなくてはならない。

 

なんて読みながら次々といろいろな思いがわきあがる。

基本的には、読んでいて胃が重たくなる物語ばかり。

 

「おええ。でもやっぱり湊かなえ作品はこうでなくっちゃ!」

と不可思議な充足感を覚えたのです。

 

 

 

   
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