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湊かなえ 「物語のおわり」

ブックレビュー 湊かなえ「物語のおわり」

 

北海道を舞台にした8つの短編集。

主人公はいずれも旅人。

リレーのように、次の短編に前作の主人公が登場する。

 

以下ネタバレあります。

 

基本になる一つの物語がある。

 

まだ昭和の時代。

ある田舎町のパン屋で生まれ育った中学生の絵美。

店番をきっかけに近所の男子高校生ハムさんと知り合う。

 

時は流れ、実家のパン屋で働く絵美と高校教師になったハムさん。

二人は婚約中だった。

 

ある日絵美の元へ手紙が届く。

中学時代の同級生で後に東京へ転校した道代からだった。

道代は人気作家の松木流星の元で作家修業をしていたのだという。

 

実は絵美も学生時代の一時期、小説を書いていた。

その絵美の小説を松木に見せたという道代。

松木は絵美の小説に才能を感じ、

東京に出てこないかと言っているそうだが・・・。

 

 

冒頭のこの物語は未完。

そして未完のままの物語が綴られた原稿用紙が、

旅人から旅人へ渡っていく物語です。

 

旅人たちには一人一人事情がある。

 

妊娠後に病気が発覚した女性。

夢をあきらめて家業を継ぐ男性。

恋人と別れたばかりの若い女性。

恋人と別れて以来、もう恋ができなくなってしまった大人の女性、などなど・・・。

 

それぞれの旅人がその未完の物語を読むときに、

おおまかなあらすじがその都度書かれるのだけど、

それの目の付け所とか、目線とか、旅人によって違うのがおもしろい。

 

そして「物語のおわり」を各自が予想するのだけど、

それもそれぞれ違っておもしろい。

 

そして読んでいると北海道に行きたくなってくる。

 

私も旅は好きだけど、

作中で紹介されるような

大自然を身体全部で受け止めるような旅はあまりしたことがなくて、

こういういつもと違う旅もいいなあ、と思う。

 

「告白」などの、心をズタズタにされる系とはまた違い、

 

koromo8oo8.hatenadiary.com

 

こういうじんわりと心に響いてくる作品もいいなあ、と思いました。 

 

   
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