田舎暮らしと本と映画。

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中村うさぎ 「他者という病」

現在、難病で療養中であるエッセイストの中村うさぎさんの、

発病から現在までについて書かれたドキュメント。

 

 

うさぎさんのエッセイは正直で赤裸々でおもしろいし、

正直で不器用で、情の深いお人柄も好きです。

 

時折読んでいて苦しくなってしまう。

どうしてそんなにも「この世の闇」を自ら追ってしまうのかと。

 

少し前に難病により療養中だとネットの対談記事を読み、

詳しいことを知りたいと思ってこの本を手に取りました。

 

発病は2013年。

体調不良のため病院に行ったところ、その日の内に入院。

 

病名は「スティッフパーソン症候群」という、

身体が硬直し、痙攣し、激しい痛みを感じる難病である「可能性」

と診断され、未だに正式な病名は不明のままとのこと。

 

3か月の入院中、着替えの最中に突然心肺停止し、

テレビをブツンを切ったときのように目の前が突然真っ暗になるが、

心臓マッサージにより蘇生。

 

そして経済的基盤であった連載の打ち切りと

出演女優・スタッフとのトラブルによるレギュラー番組の降板、

と苦難が続き、自殺未遂。

 

それらの壮絶なドキュメントを当時「新潮45」に連載していたものの、

それは同時に、

当時処方されていた薬の副作用による「人格の変容」により、

「自分が自分でなくなっていく」姿を綴るものであったという。

 

現在、薬の処方量が減り「自分を取り戻しつつある」うさぎさんが、

当時の連載原稿と同時にツッコミを入れた「うさぎ回想録」

を掲載した異色の一冊です。

 

あまりに壮絶な出来事の連続に苦しくなるけれど、

うさぎさんの生命力の強さと「言葉」への思いが伝わってくる。

 

「あのまま死んでいればよかった」

と、何度も書いてあるけれど、

文章の奥からはそれは本心でないと感じられて、

 

「プロの物書きでこんなレアな経験した人他にいる?」

「経験してなお詳細に書き残せる人他にいる?」

と、どこまでも自分を「作家・中村うさぎ」と客観視していて、

 

そしてリアルに「死」という未知の世界を経験したからこそ

「読者に届けたい」と綴られる言葉たち。

 

ズタズタに傷ついたうさぎさんから、よろよろと足をひきずりながら、

血まみれのギフトを「正真正銘、本物だから!」と届けられた気分。

そして「あとがき」に書かれた心配な近況。

 

凡庸な読者としては、

「そんなにボロボロになってまで『闇』の奥をのぞきにいかなくていいですよ!

ゆっくり、身体と心を休めて穏やかで幸せなエッセイを綴っていただければ。」

なんて思うのだけど、作家・中村うさぎはそれを望まないのかなあ。

 

   
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