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東田直樹 「跳びはねる思考」

ブックレビュー 東田直樹「跳びはねる思考」

 

 

東田直樹さんは1992年生まれの作家・詩人・絵本作家。

重度の自閉症者で会話はできません。

 

東田さんのドキュメンタリーを何度か見たことがあります。

映像で見る東田さんは、

奇声を発したり独り言を言っていたり、

身体を大きく動かしていたり、

 

身体の大きな赤ちゃんのようで、

その見た目と同じく、

赤ちゃんと同じくらいの感性と知性を持つ方なのだと思っていました。

 

私は普段自閉症の方と触れ合う機会もなく、

他の同じ障がいがある方々もそうなのだと思っていました。

 

東田さんは会話こそできませんが、

文字盤を指すことやパソコンを打つことで、その心の中を表現することができます。

 

その文章を読むと衝撃を受けます。

なんて豊かで知的で繊細な世界なのかと。

 

ご自分のことを

「壊れたロボットの中にいて、操縦に困っている人のよう」

であると書かれ、

 

奇声やひとりごとも呼吸をするように出てきて、

人も物もすべて自分にとっては風景で、

そのすべてに目を配ることはできなくて、

その中から自分の興味を引くものにしか目を向けることができないと。

 

記憶は時系列ではなく点であり、

怖い体験をしたときなど、

その記憶が突然フラッシュバックしたときには声をあげてしまう。

 

時間の流れがわからないので季節が変わることで確認できるのだと。

 

自閉症の方の心や体のことがわかりやすく綴られていて、

そしてまるで、空の上から人間の世界を見ておられるようで、

 

既に手の中にある幸せに気づかず、

ささいなことで悩んでしまう私たちの小ささに気付かされる。

 

 

でも文章を読んでいると、

私たちと同じように嫉妬や悲しみの心もあって、

 

さまざまな「障がい」の形はあるけれど、

どの障がいを持つ方も、たまたまハンディがある部分があるだけで、

同じ人間なのだと。

 

当たり前のことなのに、忘れていたことに気付かされる。

 

「知らない」ことは「恐れ」を呼ぶ。

 

いろいろな個性を持つ人たち同士が、

今よりもっと普通に仲良く過ごせる世界になったらいいな。

ささやかながらも自分もそんな世界になるように行動していこう。

 

読み終わったらそんな風に思う方が多いはず。

たくさんの人に読んでほしい1冊です。

 

   
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