田舎暮らしと本と映画。

邦画と本のレビュー。旅と神社と美しいものが好き。

(ネタバレあり)朝井リョウ 「ままならないから私とあなた」

ブックレビュー 朝井リョウ「ままならないから私とあなた」

ネタバレありです。

 

表題がメインの作品で、

巻頭にひとつ、短編の「レンタル世界」が入っています。

商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。お買い物される際には、必ず商品ページの情報を確認いただきますようお願いいたします。また商品ページが削除された場合は、「最新の情報が表示できませんでした」と表示されます。

ままならないから私とあなた [ 朝井リョウ ]
価格:1512円(税込、送料無料) (2016/7/24時点)


 

 

(レンタル世界)

若手営業マンの俺はその夜、

同じ会社の先輩である、野上さんお気に入りの風俗嬢を抱いていた。

先輩がいつもこの子ばかり指名すると言っていたから、

今夜は無理やり譲ってもらったのだ。

 

先輩とは大学時代から一緒に過ごしていて、いいことも悪いこともすべて教わった。

風呂も一緒に入れば、性癖だって知っている。

人間「みっともない自分」をさらし合えばかけがえのない絆が生まれるもんだ。

 

そんな俺はある日、ひとりの女性と再会する。

同じ会社の井村さんの結婚式で新婦友人として出席していた女性だった。

連絡先を聞いておけばよかったと後悔するくらいかわいい子だった。

俺は運命を感じつつも、ある違和感をぬぐえないでいた・・・。

 

 

彼女は新婦友人などではなく、新婦が結婚式用に雇った派遣会社のスタッフで、

「レンタル友人」だった、という物語の始まり。

 

近年、実際に利用者が多い新しい形の「便利屋さん」と聞いたことがあったので

興味深いテーマでおもしろかった。

 

あと私、「自分は健全で正しくて、そんな自分の人生に闇など関係ありません。」

と、信じて疑わないタイプの方が苦手なので、

そういうタイプの主人公がけちょんけちょんにされる展開はよいと思いました(笑)

 

(「ままならないから私とあなた」)

二人の少女が生きる、2009年から2022年。

薫ちゃんは小学生の頃からの私の親友だ。

私たちは得意なものも、考え方も違うけど、ずっと親友だ。

 

「無駄」が嫌いな薫ちゃん。

「無駄」の中にこそ本当に大切なものがあると思う私。

 

大人になって、プログラマーになった薫ちゃん、

自分にしか作れない音楽を生み出したい私。

薫ちゃんはその明晰な頭脳で独自の研究をすすめていた・・・。

 

私、初めて読んだ朝井作品が「何者」だったので、

koromo8oo8.hatenadiary.com

 

「主人公が小学生の読みやすい物語」だと思って、

休日の夜にのんびり読んでるとケガするぜ!

と警戒しながら読んでいて、

 

最初の方に登場する「モリシタ先生」にまで、

「女生徒になんかヘンなことしたりしないでしょうねえ?」と、

過剰な疑いをかけていました。(モリシタ先生ごめんなさい)

 

でも今回は本当に、休日の夜にのんびり読めるような作品で、

「HP奪われる本は読みたくない」気分のときでも、安心して読める感じ。

 

物語のオチは中盤でもう読める。

「あー、もうたぶん無理だ。逃げてーー!」

と思ってしまって、そのまま予感が的中する。

 

作中の二人が大ファンだという「Over」というバンド、

きっとモデルは「セカオワ」よね?と思いながら読んでいたら、

2020年にピアノ弾く女の子が脱退してしまい、ちょっとドキっとしました。

そういうジョークがOKなくらいのお友達なのかな?

 

「私」が理解できない、薫ちゃんの「無駄を省く」考え方は嫌いじゃない。

泥まみれになりながら選んだものが、合理的に選んだものより尊いとも思わない。

 

私たちはたぶん神様の掌の中で生きていて、

人間だけの力だけで決まることなどないと思ってる。

どんな選び方をしようが、

最後に自分の前に来たもの、起こることには必ずそれと巡り合った意味がある。

 

だからと言って、合理的な生き方をしないのは、

それだとつまらないから。

 

人間、適度にごちゃごちゃしていて、

足りない方が結局おもしろいのだろうなあ・・・。

このブログの目次 - 田舎暮らしと本と映画。