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NHK連続テレビ小説「あさが来た」がおもしろいので原案本を読んでみた~古川智映子「小説土佐堀川」

 NHKの朝ドラは「あぐり」から不定期に見始めて、

ここ数年は毎日録画して、寝る前に見るのが日々の楽しみです。

 

現在放送中の「あさが来た」は、特に楽しんで見ている作品。

 

このドラマは、

大阪の実業家・広岡浅子の生涯をモデルにしたフィクションであるとのこと。

原案本が気になって手に取りました。

 

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原案 古川智映子「小説土佐堀川」

脚本 大森美香

出演 

波瑠 玉木宏 寺島しのぶ 升毅 柄本佑 ディーン・フジオカ

三宅弘城 山内圭哉 友近 桐山照史 野々すみ花 清原果那

林与一 萬田久子 辰巳琢郎 風吹ジュン 近藤正臣 宮﨑あおい ほか

この原案本は作者の古川さんが、わずかに残った浅子に関する記述を頼りに、

浅子の子孫の方々からの聞き取りや、

実家である三井家に残る文献をもとに書かれたものだそうです。

だから「小説 土佐堀川」なのね。

 

以下なんやかんやとネタバレします。

 

 

 

読んでみてまず思ったのは、文字通り、朝ドラの方はこの小説や史実を元にした

「フィクション」であるということ。

 

「フィクション」だからよくないという意味ではなくて、

広岡浅子さんという実在の人物とその周囲の方々も素晴らしくて、

「あさが来た」という作品も素晴らしくて、ヒロインの「あさ」も魅力的で、

「史実と違うからうんぬん」みたいなことを言うのはナンセンスだなあと思った。

 

まず、少し前に話題になっていた、新次郎(玉木宏)は妾を持つのか問題について。

zasshi.news.yahoo.co.jp

 

乱暴な言い方になるけれど、

原案本の浅子は「男」であるのに対し、

ドラマのあさは「女」。

 

浅子は、没落寸前の加島屋(ドラマでは加野屋)を立て直し、

炭鉱事業や銀行事業を経て大企業に成長させるべく日々奮闘しています。

普通の人の何倍も働き、体力的にも精神的にも男性的。

 

あさは「浅子」と同じ部分もありますが、もっと女性的。

夫婦が仲睦まじいのは原案本も同じだけど、

浅子夫婦は「同士」であるのに対し、

あさ夫婦は「男と女」。

 

浅子は加島屋発展のために加島屋の血を引く子供が、できれば男子が欲しい、

しかし自分は仕事のため家を空けることも多いし、

妊娠・育児のために休む時間もない、

第一子を授かるまでにも時間がかかっている、

そして、妻として夫の世話をする時間も取れないでいる、

 

そのため、実家に住んでいた頃から自分に仕えてくれている女中の「小藤」に、

「妻」「母」の仕事を一部担当してもらうために側室になってもらうのです。

 

原案本内で浅子は、

「小我(エゴ)」と「真我(もっと大きな真実なるもの)」について語っていますが、

夫に側室を持たせることは浅子にとっての「真我」だったのかな、と。

 

この小藤がドラマで言うところの、

うめ(友近)の可憐バージョンな感じで、

うめとふゆ(清原果那)をまさに足して2で割ったような印象。

 

信五郎(新次郎)も、浅子が九州へ行ってしまった後

「御寮はんの命令なのや。(中略)

お前もわても御寮はんの大きさにはかなわんし、逃げることもでけん。(後略)」

と、小藤に告げ、小藤はその夜から側室になります。

 

その後小藤は四人の子を産むのですが、浅子は大変喜んでおり、

小藤自身は側室になった後も、浅子が亡くなる瞬間まで精神誠意浅子に仕えています。

 

現代人の感覚である「妾(=愛人)」とは全く別物なのだなあ。

でもドラマのあさ夫婦にこの感覚を持ち込むとおかしな印象になる。

 

夫の三味線のお師匠さん(野々すみ花)にもヤキモチを焼き、

「妾は嫌だ」と泣くあさ。

だからドラマ版で、うめやふゆを側室にしなかったのは正しい決断だったと思う。

 

念願の銀行を開業した後は、女性の教育について活動していく浅子。

 

ここで!「村岡花子」が登場するのです!

きっとドラマにおいては終盤の部分。

吉高さんが花子役でゲスト出演してくれないかなー。

全国の朝ドラファンが喜ぶこと間違いなし!

 

後、全国の女性をメロメロにしている五代様(ディーン・フジオカ)ですが、

原案本ではほぼ登場することなく、

炭鉱の爆発事故の時に偶然会った浅子に「頑張れ」というくらいです。

女性は「萌え」部分がないと見続けられないので、ドラマ版ありがとう!

 

原案本は文章も読みやすく、

浅子はドラマ版にも増して豪胆で、読んでいて痛快です。

 

ドラマの方も佳境。

引き続き毎日の楽しみに見せていただきます。

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