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田舎暮らしと本と映画。

邦画と本のレビュー。旅と神社と美しいものが好き。

映画 「桐島、部活やめるってよ」

映画

映画レビュー「桐島、部活やめるってよ」

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監督 吉田大八

CAST 

神木隆之介 橋本愛 東出昌大 清水くるみ 山本美月 松岡茉優

落合モトキ 浅香航大 前野朋哉 高橋周平 鈴木伸之 榎本功

藤井武美 岩井秀人 奥村知史 太賀 大後寿々花

www.youtube.com

(あらすじ)

僕は映画部に所属している。映画部なんて存在すら知られていない。

今日の朝礼で、

賞の一次審査に通過したことを報告したら、みんな嘲笑していた。

僕は普段の学校生活でも地味に目立たなく過ごしている。

気になる子はいるけど、「イケてるグループ」に所属しているから、

目を合わせることすらない。

でも映画が好きだ。見るのも撮るのも好きだ。

同じ夢を持つ仲間と相談しながらやりたいことをやるのは本当に楽しい。

放課後、学校全体がザワつき始めた。イケてる奴らもザワついている。

「バレー部の桐島」が部活をやめたらしい・・・。

 

原作→映画の順で楽しませていただきました。

朝井リョウ 「桐島、部活やめるってよ」 - 田舎暮らしと本と映画。

(以下、原作分もあわせてネタバレあります)

 

 

原作は主に、野球部幽霊部員のヒロキ(東出昌大)の目線で進みますが、

映画版は映画部の前田(神木隆之介)が主人公になっています。

 

「桐島くん」が一切登場しないのは原作と同じ。

 

原作も映画も、抱いた感想は同じ、

 

「実は映画部が本当の『リア充』であることに、

 みんな(特に若者)気づいて!!」

 

学生時代の私がこの映画の世界に紛れているとしたら、

役名もせりふもない存在だと思う。

普通に(特別思い入れがあるわけでもなく)部活をやって、

気の合う友達と日々を淡々と過ごしている感じ。

 

原作を読んだときもそうだったけど、

ヒロキ(東出昌大)の彼女のサナ(松岡茉優)が、嫌いで嫌いで(笑)

 

こういう人、ほんときらいだわ~(笑)

在学中も極力関わらないようにして(あちらも自分に興味ないし)

卒業後の忘れた頃にFacebookで見かけて「ひいい!」って思う感じ(笑)

 

そんな彼女のこの作品においての役割は、「ヒロキの自己評価の象徴」なのかと。

 

ヒロキは、

「低予算の手作り感満載なゾンビ映画を本気で作っちゃう映画部」や、

「きっと来ないスカウトを待って野球に打ち込むキャプテン」

こそが「本当のリア充」だとわかっていて、

 

でも「本当のリア充」って、

自分の心をむき出しにして、みっともないところとも向き合って、

他人からは「イタい」って言われて、

「イタい、なんて自分が一番わかってるんだよ!!」

って認めて、それでも「好きなもの」と向かい合うこと、

だとわかっていて、

 

自分のことを、

「それができねえ、見た目ばっかのしょうもねえ奴」と思っていて、

その象徴が「あの彼女」なのかなー、と深読みしておりました。

 

吹奏楽部の部長のことをもう少し丁寧に描いてほしかった。

(大後寿々花ちゃん!大きくなったなあ・・・。「セクロボ」見てたよ!)

あれじゃあ、大事な時期の部を率いる部長なのに、

片思いの男子のバスケを見にサボってるみたいじゃないか・・・。

 

映画版だと誰に片思いしているのか明らかにされてない感じだったけど、

「桐島に片思い?彼女も桐島の退部に振り回されているの?」

と、鑑賞者に思わせるため?

 

原作の、

部長がチャットモンチーをいつも聞きながら、

竜汰(落合モトキ)に思いを寄せていて、

彼女がいるって知って、

「やっぱり違う世界の人なんだ」って打ちのめされて、

 

でも竜汰が、

「屋上でいっつも吹いてる吹部の部長、割とタイプだわ」って、

ちゃんと屋上の部長に気づいてて、女性としても認められてるくだり、

好きなんだけどなーーー。

 

あとねえ、バドミントン部のミカちゃん(清水くるみ)は、映画版だと、

片思いの小泉くん(太賀)が桐島退部を機会にレギュラーになったから

彼をかばって感情的になってる子に見えるけど、

 

あの子はデキたお姉ちゃんが事故死して、

その姉を溺愛してた義母(姉の実母で父の再婚相手、自分は父の実子)

が、心の病気になってしまって、

その義母のために家では

「死んだのは自分(妹)で、自分は姉」と、

振舞っている子なんだよお(涙)

 

その家庭環境を理解した上だと、

「影の人間が、もがいてもがいて、

日の当たる場所に連れ出されても、もがいて・・」

っていう感じを、

「自分と同じように味わっている人がいる!」

って思っての行動だとわかるのだけど、

2時間の映画でそこまでは説明しきれないよね・・。

 

ラストの夕焼け色に染まる屋上で、

前田(神木隆之介)がヒロキ(東出昌大)に、

「映画監督にはなれないと思う」

「でも、映画を作っていると、その好きな映画とつながる瞬間があって・・」

って目を輝かせながら伝えるところ、美しかった。

 

そしてその後に、

今までとは違う気持ちでヒロキの目に映った野球部の練習風景も。

 

映画版のキャストの姿を思い浮かべながら、また原作を読み返したくなった。

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