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田舎暮らしと本と映画。

邦画と本のレビュー。旅と神社と美しいものが好き。

連続ドラマ「無痛」がおもしろいので原作本を読んでみた~久坂部羊「無痛」

現在、フジテレビ系で放送中の連続ドラマ「無痛」を見ています。

 

今季のドラマの中ではこれが一番すきかなあ。

原作本があると知り、早速読みました。

(以下どんどんネタバレします)

 

 

久坂部羊「無痛」

 

 作者の久坂部さんはお医者さまだそうです。

だからリアリティがあるのですね。

 

文章はとても読みやすく、一気に読んだのですが、

ええっと、一言で言うと、

 

「ドラマおもしろいよね~!

 西島さんも毎週カッコイイよね~!」

みたいな気分で読むと、グロくてビックリするよ。

 

原作の世界はもっと重い。

ドラマ版は小学生からご年配の方まで楽しめるように、

そして、視聴者の中心層である「20~50代の女性」がトキメキを抱きながら、

毎週テレビのスイッチをONできるように作り替えられているのですね。

 

ドラマを先に見ているので、そちらのキャラ設定がインプットされている。

基本的にどのキャラクターも原作より「クセ」を薄くされている。

早瀬刑事が例外で、原作では彼に「犯因症」は出ていません。

 

読み終わってからも、ぞわぞわざわざわしてしょうがなかった。

特にざわざわする2人、佐田要造と南サトミ。

 

【佐田要造】

臨床心理士・高島奈見子の元・夫。

(「ええー!原作では夫婦だったのか!高島さん・・・」とめまいがした)

 

もう絶望的にひどい。

為頼先生の言葉を借りれば

「『精神病』に分類してもいいのではないか。気の毒なほど性格が悪い。」

彼の長所を探すとしたら「犯因症が出ていない」ことくらい。

 

悲惨な最後を遂げるけれど、同情してあげられない。

死後も生前の彼のきもちのわるさで胃の奥からすっぱいものが出てくる。

 

ドラマ版の佐田がきもちわるいながらも、ちゃんと見られるのは、

加藤虎ノ介さんが、「ゲス」と「生理的に無理」のギリギリのラインで

演じてくださっているからなのだと思います。

「ちりとてちん」でも好演しておられたけど、やっぱりいい俳優さんだな~。

 

【南サトミ】

14歳の自閉症の少女。原作では白神メディカルセンターではなく、

精神障がい児施設に入所している。(高島心理士もこちらにおつとめ)

 

一家殺害事件の参考人として話を聞こうとした早瀬刑事たちが施設を訪問。

施設から脱走→闇の売春組織へ→特殊な性癖を持つドクター白神の担当になる。

 

・・・・重い。

でも、当然サトミちゃんは、

最後は普通の生活に帰れると思って読んでいたのです。

 

そうしたら、

とあるスキャンダルで大問題になった白神メディカルセンターから、

ドクター白神は去り、海外へ。

そして、サトミがそれに同行しているのです。

 

高島心理士のところには、サトミ自身から手紙が届くのですが、

それを読んだ高島さんが、

「サトミちゃんは今、白神先生の治療を受けていて、

フランス語を勉強していて、将来は国際弁護士になりたいそうですよ。」

って、為頼先生に「よかったわ~」な感じで言ってるけど。

 

高島さんと為頼先生は、サトミが売春組織から

ドクター白神の専用娼婦としてあてがわれたことはわかってないはず。

 

その手紙は本当にサトミが書いたものなのか、

その国際弁護士うんぬんのくだりは本当のことなのか、

そうだとしても、今後も彼女は白神の娼婦なのか。

 

このあたりの「えええー!!」というところが、

さら~っとエンディングとして描かれていて、ものすごくモヤモヤしています。

 

ドラマ版がどんな風な結末を届けてくれるのか、

楽しみに、ちょっと不安に見守りたいと思います。

 

 

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