田舎暮らしと本と映画。

邦画と本のレビュー。旅と神社と美しいものが好き。

西加奈子「きいろいゾウ」

繊細な感性で、動物や植物の言葉が聞こえる妻と、

背中に鳥のタトゥーが彫りこまれた売れない小説家の夫の田舎暮らし。

 

人工的で便利な物に囲まれて生きている私たちは、

周りを取り囲む物・人・そして自分自身の声を聞くことに疎くなってる。

 

正直、妻の繊細さはちょっと面倒くさいけど、

触れるもの、囲むもの、側にいる人、をひとつひとつ味わって生きていると、

人生に特別なものは必要なくて、ただ「生きる」だけで人間は幸せなんだな、

と思う。

 

登校拒否の東京の小学生。

夫の暴力による痣を身体にを持つ老婦人。

痴呆の妻を持つ老人。

解散した漫才コンビ。

 

作中の登場人物一人一人の心の中や生き様に触れていると、

「人生はその人の美しい作品であり、どんな出来事も本人の脚本次第で、

悲しい場面になったり、愛おしい場面になったりするのだな」

と実感する。

 

聡明で繊細な9歳男子のラブレターは素敵だったな。

あんな手紙、一生の内にもらってみたいなあ。