田舎暮らしと本と映画。

邦画と本のレビュー。旅と神社と美しいものが好き。

(ネタバレあり)佐藤愛子 「私の遺言」

先日、初めての佐藤愛子さんの作品を読みました。

koromo8oo8.hatenadiary.com

 

この時読んだ、

「愛子とピーコの『あの世とこの世』」の影響で読みたくなったこちら。

 

佐藤愛子「私の遺言」

 

 

ジャンル的には「エッセイ」なんだろうけど、

なんかもう、記録とかドキュメンタリーのような。

 

(あらすじ)

昭和50年、51歳の私(佐藤愛子)は北海道の浦河という町に、

夏の間だけ暮らす山荘を建てた。

「東京の生活がいやになった、一年の三分の一でいい、

人里離れた土地で暮らしたい。」

と、口走ったために知人に連れて行かれた

地縁も友人もない北海道のその町の、

人里から700m離れた山の中腹に、私は閃くように家を建ててしまう。

 

そして、入居してすぐに怪奇現象に悩まされることになる・・・。

 

この本を読んで思ったことは、一般的な「怪談」というのは

「怖い」という感情を、受け手は楽しむため、

発信側は楽しませるためにあるのだなあ、ということ。

この本は「怪談本」ではありません。

 

 一般的な怪談の流れって

「恐怖体験の概要→(オチとしての)それが起こった理由」で、

「後から地元の人に聞いたのですが・・・だったそうです。(完)」みたいな。

 

その場所に二度と近づかなかったり、引っ越してしまったり、

「原因」と距離を置くことで、恐怖体験とは縁を切るオチが多い。

 

あらすじに戻って、怪奇現象の理由は、

佐藤さんの先祖(武士)が過去アイヌ民族を虐殺したこと、

殺されたアイヌ民族も苦しみ、

殺した佐藤家の一族も苦しみ(あの世では殺した方がより苦しむそう)、

それらの浄化の役目を佐藤さんに担ってほしいからであった。

 

そして佐藤さんを助けるために駆け付ける霊能力者も、

佐藤さんが前世で助けた人であったりする。

 

この本を読むと、私たちが今、

「今の私の人生」と思っているのは長い長い魂の年表のごく一部で、

都度都度違う身体を借りて(中身は同じ魂)、長い旅をしているのだな、と思う。

 

もしそんな話をフワフワした語り口で書かれると、

「うさんくさー!」と思うけど、

でもこの本は、不可思議な現象がまるでレポートのように書かれ、

その原因を追い、そして全力で戦う、

という、魂を削るような壮絶な、30年間(!!)の記録です。

 

なので、

「トイレに行けなくなっちゃうから怖い話無理!」という方にも、

「怪談?くだらない、そんな世界あるわけない。」という方にも、

読み進められる本だと思う。

 

後半は当時起きた大きな事件についても言及され、

この辺になるとちょっと戸惑う人も多いかもしれないけど、

ほとんどの人が、普段生活していて考えないようなことで、

自分の「生き方」とか、生きる上での「心のあり方」について、

考えさせられることになると思う。

 

この心霊現象を経て、佐藤さんが、

まるで自動書記のように、とりつかれたように、

書いたのがこの「私の遺言」と「血脈」だそうなので、

 次は「血脈」を読んでみたいです。

 

 


にほんブログ村

koromo8oo8.hatenadiary.com